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月曜には$49だった商品が、火曜には$39で売れていた。誰も触った覚えがない。商品ページを開いて変更履歴を探しても、そんなものはどこにもない。
ここでよく出てくる結論は「Shopifyは管理画面の操作をログに残さない」というものだ。代理店のブログ記事にもShopify Communityの回答にも繰り返し書かれている。だが誤りだ。Shopifyは全プランで5つのアクティビティログを保持しており、さらにテーマのコードエディタにはバージョン履歴がある。
本当の問題は構造のほうにある。5つのログは互いに切り離され、4つの異なる保持ルールで管理され、監査担当者にそのまま渡せるファイルを出力できるのは1つだけだ。そしてどれも、実際に知りたかったこと——誰がこの価格を、いくらからいくらに変えたのか——には答えない。
Shopifyがすでに保持している5つのログ
2026年9月3日にShopify Help Centerとshopify.devのドキュメントで確認した内容だ。
| 標準ログ | 場所 | 実行者の記録 | 対象 | 保持 | エクスポート |
|---|---|---|---|---|---|
| Store activity log | Settings > General | 人・アプリ・チャネル | ストア全体の管理操作 | 最大250件 | なし |
| Timeline | 各レコード上 | あり | 注文、ドラフト注文、顧客、transfers | 記載なし | なし |
| User management activity log | Settings > Users > Security | あり(管理画面はUser列、CSVはACTOR列) | ユーザーと権限 | CSVで6か月 | あり(CSV) |
| 在庫調整履歴 | 商品ページ | あり(Created by) | 在庫調整 | 180日 | レポート経由 |
| Activity log for Shopify POS | POS設定 | あり(スタッフと承認したマネージャー) | 無効化、返金、ディスカウント | 1年 | なし |
| テーマコードエディタのTimeline | コードエディタ | 記載なし | Liquidファイル(アセットは対象外) | 有限 | 復元のみ |
| Admin APIのevents | GraphQLまたはREST | authorフィールド | 商品、注文、コレクション、顧客 | 1年 | API経由 |
このうち2つは、一般に書かれている説明と食い違う。まずUser management activity logはPlus限定機能ではない。全プランでユーザーとロールの作成・編集・削除を記録するし、2025年10月7日のchangelogエントリ以降は、全プランのownerとadministratorがACTOR列を含むCSVとしてエクスポートできる。Plus限定なのはGroupsのエクスポートだけだ。
コードエディタにも標準のバージョン履歴がある。Liquidファイルの旧バージョンを差分付きで表示してワンクリックで戻せるTimelineパネルで、shopify.devではRevert contents、Help CenterではRestore contentsと表記される。ロールバックの手段はGitHubだけではない。ただし制約はある。一度に1ファイルのみ、テーマ全体の復元は不可、削除したファイルは戻せず、アセットには履歴がない。
4つの保持ルールと、つまずきやすい1つ
Store activity logには時間による上限がない。Shopifyのドキュメントは最大250件と明記し、「過去何日分の管理操作を表示する」という使い方はできないとはっきり書いている。動きの少ないストアなら数か月さかのぼれるが、一括編集やアプリの同期が走るストアでは数日で埋まる。
残り3つは時間ベースで、互いに無関係だ。User managementのCSVは6か月分で、ダウンロードリンクは7日で失効し、organizationのownerかadministratorの権限が要る。在庫調整履歴は180日。POSのログとAdmin APIのイベントデータは1年。「イベントは90日で切り捨てられる」という説明をよく見かけるが、現行のドキュメントにその記述はない。
ファイルを出力できるのは1つだけだ。Store activity logもPOSのログもエクスポートできず、管理画面の変更についてコンプライアンス上の開示を求められたときに用意できるのは、user managementのCSVと在庫レポートだけになる。
ログに人ではなく「Shopify」と出るとき
Shopifyは、実行者が個人ではなく「Shopify」として記録されるケースを6つ挙げている。一括編集から走るバックグラウンドジョブなどのシステム自動処理、アプリまたはチャネルの操作、販売チャネルの操作、マーケットの変更、決済プロバイダの更新、そしてユーザー管理だ。テーマエディタでの変更は「Online Store」として現れることがある。
いちばん厄介なのはスタッフの削除で、Shopifyは Shopify deleted [staff name] と表示される場合があるとしている。アカウントが消えたことは確認できても、消した人物はわからない。そこでUser management activity logに切り替えて探すことになる。これはドキュメントに記載された仕様であって、不正アクセスの証拠ではない。またStore activity logは閲覧専用で、イベントを展開して詳細を見ることはできない。
APIが届く範囲と、答えが出ない領域
GraphQLとRESTのeventsエンドポイントは、プログラムから扱える監査フィードとしては最も近い存在だ。保持は1年、アクション・日付・subject typeで絞り込める。弱点はカバー範囲にある。GraphQLのEventSubjectType enumが持つのは、記事、ブログ、コレクション、コメント、会社、会社ロケーション、顧客、ディスカウント、ドラフト注文、在庫transfers、注文、ページ、price rules、商品、バリエーションの値だ。スタッフ、ユーザー、テーマ、配送、アプリのインストールに対応する値はない。つまり配送料の変更、テーマの編集、権限の変更はこのエンドポイントからは届かない。アプリのインストールだけは部分的な例外で、レガシーのRESTのsubject_type一覧にはApiPermissionが残っている(GraphQLのenumにはない値だ)。あわせてShopifyは、イベントは「リアルタイムとみなすべきではない」とし、反映まで数秒、まれに数分かかると注意している。
配送料については率直に書いておきたい。標準ログと、ここで確認した10本のアプリを通して、料率の変更を確実に人物へ結び付けられるものは見つからなかった。ストア設定の変更としてStore activity logに載る可能性はあるが、そのログは250件で頭打ちになるうえエクスポートもできない。今回の調査で信頼できる追跡経路が出てこなかったというだけで、存在しないと証明したわけではない。
標準機能だけで足りるケース
何かを入れる前に、自分のケースがすでに標準でカバーされていないかを確認したい。
- 誰がユーザーのロールを変えたか、誰がスタッフを削除したか——User management activity log。全プランで使え、CSVエクスポートもできる。
- 過去180日以内に誰が在庫を調整したか——Created by列。それを超える範囲は在庫調整の変更レポートで、SKU、ロケーション、スタッフ、アプリ、理由で絞り込める。
- 対面で誰が返金・無効化・手動ディスカウントを行ったか——POSのactivity logがスタッフ名と承認したマネージャーを1年保持し、顧客レコードへのアクセスも記録する。スタッフごとに固有のPINを配ること。PINを共有すると実行者の特定は成立しなくなる。
- 誰が注文や顧客レコードを編集したか——そのレコードのTimeline。ただしTimelineのコメントは取り消せない形で削除でき、痕跡も残らないので、改ざん検知の用途には向かない。
プランの制限も効いてくる。BasicとStarterはスタッフユーザーを追加できず、Growは5人、Advancedは15人、Plusは無制限。コラボレーターアカウントとPOS専用スタッフはこの上限に含まれない。だからBasicでも「誰が変えたのか」という問題は起こりうる。
アプリが効いてくる領域
残るギャップは4つある。商品のフィールド単位のbefore/after値、コレクションの変更と削除、ユーザーと在庫以外のエクスポート可能な証跡、そして変更が起きた瞬間のアラートだ。
2026年9月3日にShopify App Storeで10本のアプリを確認した。先に断っておくと、このカテゴリは成熟していない。10本のうち5本がレビュー0件だ。レビュー件数は独立した運用実績がどれだけあるかの目安であって、順位付けの基準ではない。なお、10本のうちBuilt for Shopifyバッジが付いていたのはLoggr Product History & Revertだけだった。
| アプリ | 月額(USD、下限) | 記載された保持期間 | スタッフの特定 | CSVエクスポート | 対象範囲 | 評価(レビュー数) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Loggr Product History & Revert | $13.99 | 記載なし | Advanced以上 | 記載なし | 商品 | 5.0(9) |
| Histora: Product Audit Log | $4.99 | 記載なし | 記載はあるが条件付き | あり(価格履歴) | 商品 | 3.9(6) |
| UndoLog: Track & Undo Changes | $9.99 | 記載なし | 記載なし | あり | 商品、コレクション | 0.0(0) |
| Price History & Schedule | $9.99 | 1か月〜1年 | 記載なし | あり | 価格 | 0.0(0) |
| Adminlog ‑ Audit Trail | $9.99 | Starterは30日 | あり | 記載なし | 商品、注文、返金 | 0.0(0) |
| Logify: Activity & Staff Logs | $19 | 全プラン60日 | あり(author別) | あり | ストア全体、スタッフ | 2.5(4) |
| Inventory History Guardian | $19.99 | リスティングでは無期限 | あり | あり | 在庫 | 5.0(8) |
| Rewind Backups | $19 | 365日分のバックアップ | 記載なし | 記載なし | バックアップと復元 | 4.2(597) |
| KiwiSprout Smart Logs | $9 | プランにより30〜90日 | 記載なし | あり | アクティビティイベント | 0.0(0) |
| ARCS History Tracking | $2.99 | 30〜360日 | 記載なし | あり | 商品、バリエーション、顧客 | 0.0(0) |
「記載なし」はリスティングに書かれていないという意味であって、その機能が無いという意味ではない。これらのリスティングの料金はすべてUSDで請求される。
Loggr Product History & Revert

出典: Shopify App Store(Loggr Product History & Revert、2026-09-03時点)
商品の編集履歴を旧値と新値付きで記録し、日付・フィールド・商品で絞り込み、ワンクリックで戻せる。料金は注意して読みたい。$13.99/月のBasicにはスタッフの特定も復元も含まれない。どのスタッフが変更したかを見るには$19.99/月のAdvancedからで、こちらは追跡できる商品数の上限も100件に上がる。公開されているレビューの1件は、すべてのフィールドで実行者が記録されるわけではないと書いている。
Histora: Product Audit Log

出典: Shopify App Store(Histora: Product Audit Log、2026-09-03時点)
$4.99/月という入口の安さに加えて、削除した商品の復元とバックアップした商品画像の復旧をリスティングで明示している唯一のアプリだ。Rewind Backupsは同じ領域を、汎用のバックアップと復元という形でカバーしている。実行者の特定は、同じリスティング内で2通りに書かれている。$4.99のLiteプランは「どのスタッフメンバーが変更を加えたかを確認」と条件なしで並べる一方、説明文と$14.99のプランでは「チームがHistoraを介して編集した場合」という条件が付く。通常のShopify管理画面で行った編集でも実行者が記録されるのかは、リスティングからは判断できない。Data accessは広く、ストア管理画面および公開・プライベート・カスタムアプリからのすべてのAdmin APIアクティビティが対象だ。
UndoLog: Track & Undo Changes

出典: Shopify App Store(UndoLog: Track & Undo Changes、2026-09-03時点)
コレクションを明示的にカバーする数少ないアプリの1つだ。コレクションには標準のTimelineがないので、この点は効いてくる。$9.99/月の単一プランで、変更前後の差分、CSVエクスポート、そして管理画面・CSVインポート・一括編集・アプリからの編集の追跡に対応する。リスティングは「何が、いつ変わり、前の値は何だったか」を説明しているが、誰が変えたかを記録するとは書いていない。2026年5月4日公開で、レビューはまだない。
Price History & Schedule

出典: Shopify App Store(Price History & Schedule、2026-09-03時点)
対象は価格の変更だけで、将来の更新のスケジュール設定と組み合わせてある。保持期間はプラン連動で、$9.99で1か月、$29.99で6か月、$49.99で1年。メールアラートがあるので、事後の追跡だけでなく検知にも使える。「誰がその価格を変えたのか」という問いに名前のうえでは合致しているのに、リスティングはスタッフの特定を一度も主張していない。答えてくれるのは「いつ、いくらからいくらへ」であって、「誰が」ではない。2026年9月3日時点でレビューはない。
Adminlog ‑ Audit Trail

出典: Shopify App Store(Adminlog ‑ Audit Trail、2026-09-03時点)
小規模なアプリ群のなかでは最も広い対象範囲を掲げていて、注文の監査証跡、返金のモニタリング、財務の監査ログを挙げている数少ない一本でもある。実行者の特定は$9.99のStarterプランから使えるが、フィールドレベルの差分は$29.99/月のProfessionalからだ。Starterの保持は30日で、それ以上のプランの保持期間は記載がない。2025年11月21日公開でレビューは0件なので、掲げられている内容を確かめる手段は無料体験しかない。
Logify: Activity & Staff Logs

出典: Shopify App Store(Logify: Activity & Staff Logs、2026-09-03時点)
重要な編集についてSlack、メール、Webhookでアラートを出すと明記している唯一のアプリで、CSVエクスポートとauthorでの検索も備える。ただし、これに対して不利に働く材料が3つある。1つ目は保持期間で、4つのプランすべてが60日と書かれている。Shopify自身のeventsが持つ1年より短い。2つ目はData accessの広さで、確認したアプリのなかで最も広い。名前・メールアドレス・電話番号・住所を含む顧客の機微データ、デバイスとアクティビティのデータ、Shopifyペイメントの不審請求の申請、テーマの編集まで含まれる。3つ目はスタッフの画面録画機能を含んでいる点だ。米国における従業員モニタリングは連邦法と州法によって規律され、内容は州ごとに異なる。有効にするかどうかは既定で決められる話ではなく、自社の法務に確認すべき論点になる。評価は4件のレビューで2.5、うち2件が1つ星だ。
Inventory History Guardian

出典: Shopify App Store(Inventory History Guardian、2026-09-03時点)
これは標準機能と正面から競合するので、180日の調整履歴に何を足せるのかが判断材料になる。リスティングが挙げているのは、無期限と説明される保持期間、Shopifyの固定リストを超えるカスタムの調整理由、調整へのメモ、そしてCSVエクスポートだ。Standardが$19.99/月で、商品1,000点超またはロケーション5か所超のストアは$39.99/月のEnterpriseに移る。公開されているData accessには顧客の機微データと過去60日分の注文履歴が含まれていて、在庫向けのツールとしては広い。
Rewind Backups

出典: Shopify App Store(Rewind Backups、2026-09-03時点)
ここで最も実績のあるアプリで、4.2、レビュー597件、2016年1月5日から提供されている(英語表示でも同じ597件。本記事の英語版を確認した時点では593件だった)。ただし解いている問題は別で、バックアップと復元であって実行者の特定ではない。Backup + Restoreは$19/月で、商品、テーマ、コレクション、顧客データ、メタフィールドを対象に365日分の履歴を持つ。$99/月のProtection Suiteは商品の一括変更に対するアラートが加わる。どちらも月間注文数による階層制で、その階層を超える場合の料金はリスティングに載っていない。リスティングにData accessのセクションは公開されていない。これは「公開されていない」ということであって、「権限を要求していない」という意味ではない。
残る2本と、2つの注意点
$9/月のKiwiSprout Smart Logsと$2.99/月のARCS History TrackingはどちらもCSVエクスポートを備え、ARCSは保持期間そのものをプランで買い足せる(30〜360日)。ただし両方ともスタッフの特定には触れておらず、リスティングにData accessのセクションも公開されていない。KiwiSproutは$9のプランで30日から始まり、$54のプランでも上限は90日で、標準のeventsより短い。$2.99/月のLog Viewerも掲載されているが、公開されている2件のレビューはどちらも1つ星で、動作しないと報告している。もう1つ、スラッグにも注意したい。CartMind BridgeのLoggr:Product History & Revertは、ほとんど同じ名前の別アプリだ。
買いすぎずに選ぶ
出発点はアプリ名ではなく、対象のリソースを言葉にすることだ。ユーザーとロール、180日以内の在庫、POSの返金、注文や顧客レコードの編集——ここは標準でカバーされている。何も入れなくていい。
本当に欠けていて、費用を払う価値があるのは商品のbefore/after値だ。ここではLoggr Product History & Revertの$19.99のAdvancedが、Built for Shopifyバッジとスタッフ特定の明記の両方を持つ選択肢になる。コレクションが問題なら、それをカバーしている数少ないアプリの1つがUndoLogだ。変更の瞬間にアラートが欲しいなら、SlackとWebhookを提供しているのはここではLogifyだけだが、60日の保持、2.5という評価、確認したなかで最も広い権限要求とのトレードオフになる。責任追及ではなく復旧が目的なら、成熟した選択肢はRewind Backupsだ。
どれを候補に残すにせよ、リスティングでは決着しない2点は無料体験で確かめたい。1つは、自分が気にしているフィールドで実行者が表示されるかどうか。もう1つは、Data accessのセクションを公開していない3本——Rewind Backups、KiwiSprout Smart Logs、ARCS History Tracking——について、インストール時の同意画面が何を要求するかだ。料金、評価、バッジはいずれも2026年9月3日に確認したもので、これだけ若いカテゴリでは動きが速い。
参考・出典
- Activity logs in the Shopify admin
- User activity and log in history
- Exporting your user management information as a CSV file
- Timeline
- Activity log for Shopify POS
- Viewing inventory adjustment history
- Maximum number of users for each pricing plan
- Editing theme code
- Export user data in bulk for audits and compliance, October 7, 2025
- events query, GraphQL Admin API
- EventSubjectType
- Event, REST Admin API
- The code editor
アプリの料金、評価、レビュー件数、バッジ、公開されているData accessは、各アプリのShopify App Storeリスティング(2026-09-03取得)による。
Shopifyにactivity logは存在し、Shopify Plus限定機能でもない。Settings, Generalのstore activity logはプランではなく権限で制御され、user management activity log、login history、activity log for Shopify POS、各注文・下書き注文・顧客・移動のTimelineと併存する。問題は不在ではなく分断と、Shopifyが文書で明記した4つの限界だ。最大250件、エクスポート不可、イベントの詳細を開けない、日付範囲で絞れない。保持は日数ではなく件数で数えるため、1日30件の管理操作があるストアの履歴はおよそ1週間分しか残らない。さらに実行者の列が人名でなくShopifyになる6つのシナリオが公開され、テーマ編集は仕様上Online Storeに帰属する。例外は在庫で、adjustment historyのCreated by列はスタッフ・アプリ・販売チャネルを名指しし、Inventory adjustment changesレポートは180日を超えて遡れエクスポートもできる。本記事は標準ログを整理し、2026年9月3日時点のaudit log/変更履歴アプリ7本を料金、課金単位、公称保持期間、対象範囲、復元、エクスポート、データアクセスで比較する。結論は、全フィールドでスタッフの実行者を確実に特定できるアプリはこの7本に1つもない、である。