この記事でわかること
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本記事は米国市場のShopifyストアを対象に、英語の一次情報をもとに調査しました。料金はすべてUSD表記のままです。
Stockyはもう存在しない。Shopifyは2026年2月2日にリスティングを取り下げ、2026年8月31日にサービスを停止した。いまだStockyを勧める米国の検索結果はすべて誤りだ。それらが前提にしていた「Shopifyに棚卸し機能はない」という主張も、2025年10月23日のQuick count POS UI extension出荷で成立しなくなった。
Shopifyが標準で数えられること
Quick countはShopify POSアプリ内で動き、端末カメラ、ペアリング済みバーコードスキャナー、数量の手入力の3通りでカウントする。必要な権限はManage inventory (excluding transfers)で、これはログイン中のユーザーに適用され、PINを入力してカウントするスタッフには適用されない。複数のPOS端末で同一ロケーションを同時にカウントでき、submit済みセッションは管理画面へ即時同期される。
標準機能が行き詰まるところ
Quick countはPOS Proの機能で、POS Proは1ロケーションあたり月額$89 USD、年払いでの請求だ。問題はその要件の在り処にある。POS featuresページとPOS pricingページ、つまりマーケティングページにしか書かれていない。手順を教える3本のヘルプセンターページが挙げるのはManage inventory権限だけだ。オンライン専業やPOSハードウェアのない倉庫運用では、標準のカウントワークフローがそもそも存在しないことになる。
セッション上限も効く。ヘルプセンターは1回のセッションで調整できるのは最大1,000 variantsまでと書き、別のヘルプセンターページも同じ数字をvariantsとする。一方でchangelogは"1,000 products"、Stocky移行ページは"1,000 items"だ。一次情報が3本、単位が3通りある。手順ページ2本が一致し、Shopifyは在庫をvariant単位で管理しているのだから、variantsが正しいと考えるべきだろう。5,000 variantsのカタログなら5セッションが要る。
そしてShopify自身が、これを全店棚卸しに使うなと書いている。Stocky移行ページはQuick countを特定の商品やゾーンの素早いスポットチェック用と定義し、全店棚卸しはCSVを使う手作業へ誘導したうえで、こう続ける。"If you have strict external audit requirements, then a third-party inventory app can provide dedicated counting and approval workflows."(厳格な外部監査要件があるなら、サードパーティの在庫アプリが専用のカウントと承認のワークフローを提供できる)。差異レビューのゲートはなく、商品ページの調整履歴も直近180日分しか表示されない。
比較表
判断を分けるのは表示価格ではなく、どこで動くか、課金の分母は何か、第三者の証拠がどれだけあるかだ。
| Quick count(標準) | EasyScan Inventory & Barcode | Cohub Inventory Counting | BR Stock Take: Inventory Count | Twist: Stock Take | Pasilobus Stock Control | Stocktake ‑ Inventory Audits | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| POS Proが必要 | はい | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ |
| 動作環境 | POSアプリのみ | POS / 管理画面 / モバイル | ブラウザとモバイル | ブラウザ / モバイル / POS | POS / 管理画面 | デスクトップ / POS / モバイル | 管理画面のみ |
| 課金の分母 | ロケーション数 | 機能ティア+シート数 | ロケーション数 | ロケーション数、商品数、デバイス数 | ロケーション数 | ロケーション数 | チームメンバー数 |
| 価格(USD/月) | $89(1ロケーション) | $9.99〜$129.99 | $19〜$99+1ロケーションごとに$5 | $0〜$25 | $10〜$20 | $7.99〜$49.99 | $5〜$20 |
| 評価(レビュー件数) | — | 5.0(342) | 3.6(27) | 3.1(26) | 4.6(5) | 0.0(0) | 5.0(1) |
料金と評価は2026年9月3日に確認した。すべての料金はUSDで請求される。
EasyScan Inventory & Barcode

出典: Shopify App Store(EasyScan Inventory & Barcode、2026-09-03時点)
506が2020年1月24日に公開。6本で唯一Built for Shopifyバッジを持ち、唯一まとまったレビュー数(5.0、342件)を持つ。課金分母はロケーション数ではなく機能とユーザーシート数で、Basic $9.99、Standard $39.99、Advanced $79.99(6 User Accounts)、Pro $129.99(ユーザーアカウント無制限)。12店舗のチェーンでも1店舗と同額だ。ただし棚卸しがどのプランで解放されるかは明記がなく、顧客の氏名や住所、注文の編集まで含む6本中最も広いデータアクセスを要求する。
Cohub Inventory Counting

出典: Shopify App Store(Cohub Inventory Counting、2026-09-03時点)
ナッシュビルのCohub LLCが2020年2月18日から提供、評価3.6(27件)。差別化点はQuick countの弱点を突く。カウント中の販売や出荷で生じた途中の調整をレビューできるのだ。Basic $19(最大4ロケーション)、Professional $29(5)、Advanced $59(8)、Plus $99(9+追加1ロケーションごとに$5)。オランダのレビュアーはSKUでスキャンできず連続スキャンも不可と報告し、開発者はバッチモードとSKU検索の存在を公開の場で反論している。
BR Stock Take: Inventory Count

出典: Shopify App Store(BR Stock Take: Inventory Count、2026-09-03時点)
インドのBR Data Solutionsが2020年8月4日に公開、評価3.1(26件)でうち9件が1つ星か2つ星。全店棚卸しの挙動を明示する唯一のアプリだ。"let the app correct stock errors and zero out anything not counted."(在庫の誤差を修正し、カウントされなかったものをすべてゼロにする)。ブラウザ、Shopifyモバイル、POSで動くのでPOS Proは不要。Starterは無料で1ロケーション・1回の棚卸しにつき50 products/variants、Standardは$15で10ロケーション、Enterpriseは$25で200ロケーション。3年以上使う米国のマーチャントの不満に対し、開発者は5ロケーション上限の旧$10プランのままだったと返信した。ロケーション課金型のプラン据え置きリスクである。
Twist: Stock Take

出典: Shopify App Store(Twist: Stock Take、2026-09-03時点)
TWISTED TREE (PTY) LTDが2025年7月3日に公開、評価4.6(5件)は一般化するには少なすぎる。タグ、メタフィールド、商品タイプ、販売元で循環棚卸しを絞り込め、メタフィールドで絞れるのは6本中これだけ。Standardが$10で最大2ロケーション、Bulkが$20で最大4だ。
重要なのは設計上の制約である。米国のマーチャントがゾーン別に分割したところ、両ゾーンに出てくる商品で後のカウントが先を上書きし、1日分の作業を失った。開発者は公開の返信で認めている。"always set the product quantities to what was counted and never accumulate between separate stock takes"(常に商品数量をカウントされた値に設定し、別々の棚卸し間で加算されない)。ゾーン分割は1,000 variants上限に対する標準的な回避策であり、「設定のみ」のアプリでは2つのゾーンに在庫があるSKUが罠になる。
Pasilobus Stock Control

出典: Shopify App Store(Pasilobus Stock Control、2026-09-03時点)
正式名称はPasilobus Stock Controlで、いまも流通する古いStock Takeという表記ではない。シアトル拠点、2024年9月20日公開。Basic $7.99(1ロケーション)、Grow $19.99(3)、Advanced $34.99(15)、Enterprise $49.99(30)。理由とユーザー付きで全変更を追跡する監査証跡を明記し、スクリーンショットのキャプションにAdd to StockとReplace Stockの両モードを示す。加算モードの存在こそがゾーン分割カウントを安全にする条件だ。ただしレビューはゼロ件で、第三者の検証がない。
Stocktake ‑ Inventory Audits

出典: Shopify App Store(Stocktake ‑ Inventory Audits、2026-09-03時点)
ユタ州リーハイのRunelight Venturesが2026年4月28日に公開。6本で最も新しく、評価5.0だがレビューは1件のみ。年次の棚卸しを乗り切らせるのではなく不要にする設計で、あらかじめ決めた数量の商品をランダムに選び、小規模な日次の監査セッションを作る。shrinkage(棚卸減耗)のレポートを名指しするのも6本中これだけだ。課金はチームメンバー数のみで、Starter $5(最大5名)、Growth $10(最大10名)、Unlimited $20。ただしShopify管理画面でのみ動作しPOS連携の記載がなく、バーコードスキャンも記述がない(非対応ではなく未確認だ)。
1、3、10ロケーションでのコスト
| ロケーション数 | Quick count(POS Pro) | EasyScan | Cohub | BR Stock Take | Twist | Pasilobus | Stocktake ‑ Audits |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | $89 | $39.99 | $19 | $0(無料)または$15 | $10 | $7.99 | $5 |
| 3 | $267 | $39.99 | $19 | $15 | $20 | $19.99 | $5 |
| 10 | $890 | $39.99 | $104 | $15 | 提供なし | $34.99 | $5〜$20 |
EasyScanは、正確なプランの明記がないためカウントを含むと読めるStandardで計算した。ただしPOS Proと棚卸しアプリは同じ買い物ではない。 $89にはPOSスタッフ数の無制限、スタッフの役割と権限、顧客プロフィール、返品と交換、リテール向けレポート、オムニチャネル販売も含まれる。
状況別の選び方
- すでにPOS Proがある。 カタログが1セッション1,000 variantsに収まり、承認ワークフローを求める監査人もいないなら、Quick countの追加費用は$0だ。
- オンライン専業、または倉庫のみ。 POSハードウェアなしで標準機能は解放されない。BR Stock TakeとStocktake ‑ Inventory AuditsはPOSなしで動き、無料で評価できるのは前者だけだが50件の上限がある。
- ゾーン単位で数える、または未カウント分のゼロ化が必要。 Pasilobus Stock ControlはAdd to Stockモードを示し、Twistは常に「設定」する挙動だと開発者が認めている。ゼロ化を書面で明示するのはBR Stock Takeだけだ。
- 多ロケーションかつ予算が厳しい。 EasyScan Inventory & BarcodeとStocktake ‑ Inventory Auditsはロケーション数を課金要素に含めない。
なお6本とも、アンインストール後のカウント履歴の扱いもサポート対応時間も公開していない。監査証跡を預ける前に問い合わせるべきだ。
結論
すでにPOS Proを払っていてセッションが1,000 variantsに収まるなら、Quick countが答えで追加費用はかからない。だがPOS Proがない、複数セッションや複数ゾーンでのカウントを強いるカタログを抱えている、承認ワークフローを求める監査人がいる、のいずれかが成立した瞬間に標準の経路は十分でなくなる。必要になるアプリの費用は、1ロケーションあたり$89ではなく月額$5〜$40である。
参考・出典
Shopifyにactivity logは存在し、Shopify Plus限定機能でもない。Settings, Generalのstore activity logはプランではなく権限で制御され、user management activity log、login history、activity log for Shopify POS、各注文・下書き注文・顧客・移動のTimelineと併存する。問題は不在ではなく分断と、Shopifyが文書で明記した4つの限界だ。最大250件、エクスポート不可、イベントの詳細を開けない、日付範囲で絞れない。保持は日数ではなく件数で数えるため、1日30件の管理操作があるストアの履歴はおよそ1週間分しか残らない。さらに実行者の列が人名でなくShopifyになる6つのシナリオが公開され、テーマ編集は仕様上Online Storeに帰属する。例外は在庫で、adjustment historyのCreated by列はスタッフ・アプリ・販売チャネルを名指しし、Inventory adjustment changesレポートは180日を超えて遡れエクスポートもできる。本記事は標準ログを整理し、2026年9月3日時点のaudit log/変更履歴アプリ7本を料金、課金単位、公称保持期間、対象範囲、復元、エクスポート、データアクセスで比較する。結論は、全フィールドでスタッフの実行者を確実に特定できるアプリはこの7本に1つもない、である。